日々のつぶやき日記

美容師、パパ、男としての日々のつぶやき

美容師の仕事はとても好き。でも子どもにはやらせたくない、その理由。

もう美容師の仕事をやって12年。

もうもちろん若手の年ではなく、中堅世代。

周りも店を持つ人が多くなる世代。

とはいえフリーランスが流行ってきているこのご時世なので、店を待たずしてフリーとして活躍する人も増えている。

 

美容師の仕事は好き。

めっちゃ好き。

お客さんを綺麗にすることが好きだし、

いろんな世代のお客さんと話すことが好き。

初めましての方と話したり、綺麗にしたりすることで信頼を得ること(承認欲求的なの)も義務だと思うけど、好きだし、

ずっと通ってくれてるお客さんのプライベートな話を共有したり、悩みを聞いたり聞いてもらったりの会話も好きだし、

新しい髪型に挑戦したいのを応援したいし、

髪の毛の理論みたいな構造みたいなマニアックな勉強も好き、

デザインの勉強も、カラーの勉強も、髪をきれいに見せる勉強も何かイベントとしてやることも好きなんです。

まあ、とにかくやっぱり美容師が好きで、

髪を切ることだけじゃなく、会話だけじゃなく、喜んでもらうことだけじゃなく、

“美容師の仕事”が好き。

 

よく、

「なんで美容師になったんですか?」って聞かれるけど、

本音をいえば当時は表面上のことしか考えてなかったから、ただ“楽しそう”という理由だけ。

それはお客さんと話しながら髪を切るってことだけを意味してるんだけど、

美容師になったきっかけの部分については、美容師を続けている理由では全くない。

だってもともとの理由が薄っぺらすぎてブレブレだったから。

そういう意味では明確な理由はないのかもしれない。

あとは大学をやめるために無理やり理由が作られたか。

 

一応、美容師の経歴をまとめておこう。

最初に就職したお店は10店舗、120人くらいの会社。

それくらいの人数があれば、気があう先輩、後輩、同期がいるわけだが、それ以上に合わない人の方が多い。美容師は変わり者が多い。自分も含めて。

 

その会社はカリキュラムが決まっていて全てクリアするとスタイリストになれる。

もちろん、要領のいいやつが早くスタイリストになるのだが、要領の悪いやつは同じ項目を長いと半年もかかってクリアする。

 

もちろんカリキュラムの練習は営業後にやるのだが、その練習時間も夜中まで続くことがほとんど。

そしてそれがほぼ毎日。

これでは疲れがたまって練習に集中できないのも今考えれば納得だが、当時はダラダラ毎日やっていた感じがする。

それがその会社の伝統だったから誰も変えようとしないし、それが正しいことだと思っていた。

その会社は新卒しか採用してないので、幹部クラスで別の考えを持っている人はいない。

若手で違う考えを持つ人はやはり会社の考えに疑問を持ち退社。

結果、世間との考えがズレていようが会社の考えとその個人の考えが一致したらその会社の中では正しい考え、となる。

でも会社の中で、世間の常識を教えてくれる人がいないので会社の常識=正しいこと、という認識になる。

それに従わない人=悪、という認識になるのでそれが一番厄介。

 

例えば、残業。

スタイリストが無理やりとった夜の予約のせいで、アシスタントが残業したとしても、僕のいた会社では月5時間しかつかなかった。

(おそらく実際は30時間くらいなのではないだろうか。)

と言っても、残業しようがしまいが営業が終わってからの練習なので結局早くは帰れない。

もっといえば、シフト制の意味もあってないようなもの。

早番は9時に店に着き、着替え、ミーティング、掃除、10時から営業スタート。19:00まで。

給料発生時間は10時から19時。休憩は20分。

でも8時間分の給料。

お店は21時までなんだけど、たとえ早番であっても21時までは基本的に帰ってはいけないというルールがあった。

 

え?じゃあ遅番の方がいいんじゃね??って言う結論になるんだけど、

 

遅番の働く時間は基本的には11:30から21:00。

でも、スタンバイするのは10:30から。

たとえ早く働いても給料は発生しない。

拘束時間は早番と同じくらい長いのです。

結局そのあと、半強制的な練習が23:30くらいまで。

拘束時間の長さはそれくらい長い。

給料に関してもアシスタント時代は手取り16万くらい。

そして残業代は先ほどの通り。

(さらに、今では年一回やるヘアショーのお金を月5000円天引きされてるらしい。)

出費は材料費だけでも月2万円くらい出るかな。カットの練習で使うウィックもめちゃ使うし。

なかなか給料面でも辛い。

 

薄っぺらい理由で美容師を目指し、無事入社できたわけだけど、ここの会社を選んだのは

“ある程度の店舗展開で福利厚生がしっかりしていたから”

だってあまり大きすぎてもどこの店舗になるかわかんないし、福利厚生がないお店っありえないって思ってたから。

でもその福利厚生、名前だけで何にも使えないんですよ。

有給とか、1日も遊ぶためとか休むためとかに使ったことない。

風邪ひいたときに使うくらい。

友達の結婚式に出ようとしたら、まさかの「ダメ。」

(訴えてもいいレベルかな??)

 

待遇の面ではほんとクソみたいな会社だったけど、5年くらい働いてこれたのは先輩が言っていた「うちの店の技術はどこに言っても通じるから。業界では有名。」

って言われてたから最低でもスタイリストになってからやめようと思って、嫌いな人ばっかりだったけど、続けた。

 

んで結局そこの会社を辞めて次はフリーとして働くんだけど、そこに入る前、面接も何社か受けて知ったことがあって。

 

「どこの店もその店のこと知らねーじゃん。全然有名じゃねーじゃん!!誰だよ、業界で有名って言ってたやつ!」

 

どこでも転職できるみたいなこと言われてたけど全然関係なかったわ。

 

結局、もともと同じ会社で働いてて、オレと同じ志を持った先輩が誘ってくれて、フリーの美容師が集まるお店で一緒に働かせてもらったんだ。

そこで働いてみて、ほかの人の技術がイマイチに見えたってことは元いた会社の技術は良かったのか、と思えたことで、すこーーーーしだけ救われた。

 

でもそこの店でも色々問題があって店長が全然仕事が出来ず、

予約を忘れて出勤しない。

お客さんの予約の時間を間違える。

アドバイスだけは一丁前。

自分の考えの押し付け。

など、窮屈しながらもマンツーマンでの接客だったので美容師本来の仕事の楽しさはそこで改めて感じられた。

 

そこで5年働き、地元に店を出すわけなんだけど、

色々あったその5年の中には

結婚。

妻の2回の出産。

があり、自分の価値観が色々変わった時期でもあった。

 

仕事はめっちゃ好きなのに自分の子供には美容師をあまりやって欲しくない。

というより自分みたいな仕事以外の苦労をして欲しくない。

自分の店を開いたからこそ1代で終わらせるのはもったいないけど、自分の愛する子供たちが会社のつまらないルールに無理やり縛られたり、人生の一番楽しいを貧乏で過ごしたり、自分みたいに心が一時病んだりして欲しくないから。お客さんと関わってきれいにする力を手に入れてそれを職にするっていうのはとてもすばらしいことだと思うんだけど、

残念ながら「うちの店、めっちゃいいよ!!」って言う知り合いをあまり聞いたことがない。

だから仕事内容というより、環境に反対。

まだ満足に仕事に集中できる店が少なすぎるから。

と、思ってしまってる。

同業がこんなこと言うのもおかしいけど、正直な想い。

 

でも息子、娘が“美容師としてこうなりたい!!そのためなら何の犠牲も惜しくない!”と強いブレない目標があるなら是非応援したいと思う。当たって砕けろ。ブレない目標があるなら少しの時間の拘束だって、貧乏だって、理不尽だって耐えられると思うから。

残念ながらほかの職業についたって理不尽なことが多いだろう。でも今の美容師はそれより苦労が多いと思う。

でもその苦労を乗り切れるのは強い目標だと思うのでそれを持てているなら応援しようと思う。

 

という今の想い、まとめ。